ブロックチェーン証明書の標準規格「Blockcerts」の導入事例まとめ

 

今回は、弊社の『CloudCerts』にも活用しているブロックチェーン証明書の標準規格『Blockcerts』について、世界各国の具体的な導入事例をまとめました。

 

Blockcertsについてはこちら。

世界的に見たBlockcertsのメリットについてはこちら

 

ブロックチェーンベース卒業証明書

 

実際に、当社のCloudCertsから発行されたBlockcerts準拠のブロックチェーン証明書が以下です。

Cloudcertsについての詳細はこちら。

『Blockcerts』はマサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボとLearning Machine社(現在はHyland社傘下)との共同開発で生まれ、2017年10月には、一部の学生向けにBlockcertsを利用したブロックチェーンベースの学位証明書が導入されました。

また、Blockcertsを利用したブロックチェーン卒業証明書では、『Blockcerts Wallet』と呼ばれるアプリケーションを利用しており、生徒や卒業生はiOSおよびAndroidで、自身の学位証明情報や卒業証書を簡単に管理できるようになりました。

これを皮切りに、以下の教育機関がBlockcertsによる卒業証明書の発行を開始しています。

  • ハーバード大学(アメリカ)
  • ニューメキシコ州立大学(アメリカ)
  • メルボルン大学(オーストラリア)
  • マルタ大学(マルタ共和国)
  • バーレーン大学(バーレーン)
  • 香港科学技術大学(香港)
  • バーミンガム大学(イギリス)

その他にも、世界中の教育機関がBlockcertsによる学位証明の提供や実証実験を進めています。

日本でも、2018年に経済産業省・文部科学省が共同でBlockcertsの教育機関への利用を発表しており、ブロックチェーン学位証明書を提供するための取り組みを行っています。

(参考:大学学位証明、オンラインで取得 ブロックチェーン活用)

 

ブロックチェーンアイランド「マルタ共和国」

 

Image for post
malta: blockchian island より引用

マルタ共和国は国家戦略として「ブロックチェーン国家」を掲げており、卒業証明書のみならず、日常のあらゆる分野にBlockcertsを活用しています。

以下はLeaning Machine社とマルタ共和国政府が、Blockcertsをを活用して検証可能にしたブロックチェーン証明書の例です。

  • 教員免許証
  • 運転免許証
  • 不動産契約
  • 結婚証明書
  • 原産地証明書
  • 出生証明・残高証明書

教員免許証と不動産契約については既に義務付けが決定している等、マルタ共和国政府は日常生活におけるブロックチェーンのさらなる普及を推進しています。

以下は実際にマルタ高等学校を卒業した際の成績書です。

 

マルタ政府より

 

医療資格や患者の診断書や記録

 

 

「Blockcerts」を利用したブロックチェーン証明書は、医療資格証明書にも活用されています。

米国を中心とした70の医療機関及び整骨院を代表する米国連邦医療委員会 (FSMB)は、医学教育資格をブロックチェーン上で検証することを可能にしました。

具体的には、医療資格に「Blockcerts」を利用したブロックチェーン資格証明書を発行することで、発行機関またはプラットフォームベンダーが機能を停止した場合でも、受信者が自分の記録を所有し、永久にそれらを共有および検証できるようにしています。

また、FSMBは医師のみでなく患者の診断書をシームレスに共有する取り組みも行っています。

 

コロナウイルスで浮き彫りになった「医療提供の機会」

 

CoViD 19 and Blockchain
On How Blockchain Helps the World Health Organisation to Combat CoViD-19より引用

 

米国は、COVID-19による深刻な医療従事者の不足を踏まえ、FSMBが取り組む「Blockcerts」を利用した医療資格提供を、米国本土全体に応用することを検討しています。

この背景には、特に人員不足が深刻だったニューヨーク州をはじめ、様々な州が一時的に高額な報酬で医療従事者を募集したものの、応募者の資格検証に複雑なプロセスを要することにより結果的に患者への対応に支障をきたしてしまった、という事情がありました。

同プロジェクトは、Blockcertsの開発コミュニティの中心であるHyland社がHyland Credentials(Blockcertsの新名称)を採用予定であり、安全かつ迅速な方法で医療従事者を現場に投入するプロセスを提供できるとしています。

その他にも、欧州や中東、アフリカではCOVID-19の影響を受け、電子投票やソーシャルディスタンスを保つための管理システムにブロックチェーンを活用することが公表されており、その一部に「Blockcerts」を活用することが検討されています。

 

国連主導のプロジェクト「C-Lab」

 

https://www.learningeconomy.io/clab より引用

 

2020年より実証実験が開始されている、米国のプロジェクト「C-Lab」にもBlockcertsが活用されています。

「C-Lab」は、SDGs(持続可能な開発目標)の一つ、「質の高い教育をみんなに」を達成するために発足したコロラド州全体のプロジェクトです。

2023年にコロラド州での実証実験を終えた後、国連主導のもと世界中に社会実装されていく予定です。

「C-Lab」の概要についてはこちら。

そして、当社も日本唯一のデジタルクレデンシャル専業のスタートアップとして、Blockcerts準拠の証明書を日本の教育機関向けに提供しています。

 

参考

 

 

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