今回は、「ラーニングエコノミー」の概念を基にして行われているプロジェクトの一つ、「C-Lab」について、具体的な参加団体や企業とその役割をまとめました。
「C-Lab」の概要についてはこちら。
「C-Lab」には、既に上記のような企業が参加を表明しており、教育を中心に様々な領域に応用することが想定されています。
「Identity Systems」
このプロジェクトにおける「土台」と位置付けられているのが「Identity Systems」です。
「Identity Systems」では、人や組織のための独立したアイデンティティ「Self-Sovereign Identity(SSI)」の実現を前提としています。「C-Lab」プロジェクトは今後様々な業界や地域からの参加が想定されるため、「透明性が高く、所有者が真にそのデータを手にする、もしくは提供するIDといえるものでなくてはならない。」とされているからです。
そのため、デジタルIDのコードはオープンソースで、ネットワークは分散型で台帳技術を利用して運用される「Sovrin」、そしてその技術を業界横断的に展開している「IBM」や「Microsoft」が開発に携わっています。
「Badging and Credential Systems」
「Badging and Credential Systems」では、改ざん不可能な資格情報や卒業証明書、研究機関の達成度などの証明・検証を可能にするための開発を行います。
ここでは、verifiable credentialsに準拠し、ブロックチェーン技術を基にしたオープンソース「blockcerts」や、複数の教育機関にまたがった質の高いリソースを提供するOpenPathways標準に取り組む「IMS Global」などが参加しています。
「Research Information Systems」
「Research Information Systems」では、学術論文や最先端の研究リソースをユーザーに提供することを目的としています。
各ユーザーへのコンテンツの提供のみならず、「Badging and Credential Systems」と連携し、OpenBadgeによる研究内容の透明性の確保や、ユーザーへのインセンティブの設計まで幅広く行います。
学術情報メディア「arXiv」や、Googleの研究開発部門である「Google X」がプラットフォーマー、またはリサーチに協力し、開発を行っています。
「Library and Metadata Systems」
「Library and Metadata Systems」では、「Research Information Systems」と同様に、公共図書館や学術図書館のリソースや様々なコミュニティなどを提供することを目的としています。
その他にも、参加者が使いやすいように、ユーザーの様々なデータを標準化する役割も担っています。
オープンで分散型のデータエコシステムを作成し、教育やスキル等のデータの標準化を進めている「T3 innovation network」や、世界中の教育機関の図書館や美術館のリソースをクラウドベースで提供している「OCLC」が参加しています。
「Learning Management Systems」
「Learning Management Systems」は、ユーザーに学びのコミュニティやコンテンツを提供するシステムを提供します。
ユーザーは様々なプラットフォームをシームレスに選定することができ、学びたいコンテンツによって使い分けることができます。
プラットフォームに参加している企業は、ユーザーから得た学習データのログや成果物などのデータをブロックチェーン上に適切に管理し、改ざんや情報漏洩を防いでいます。
また、「Research Information Systems」と連携し、学習成果や成果物、資格証明の価値を可視化する役割もあります。
世界の大学教育機関で最もプラットフォームとしてのシェアが高く、google docsやMicrosoft officeなどの異なったシステム仕様にも優位性がある「Canvas」や、世界最大級のオンラインコンテンツプラットフォームである「edX」が参加しています。
その他採用やソフトスキルを養う機会を提供
その他にも、市場とユーザーの能力の正確な連動を目的として、総合求人サイト「Glassdoor」や「Linkedin」がリソースの提供を発表しています。
また、多角的な視点やアクティブラーニング、対人コミュニケーションスキルを養える場も提供するため、「SAP」や「Salesforce」等の企業がプロジェクトへの参加を表明しています。