平等な教育を実現する「ラーニングエコノミー」とは?学びの実績を分散技術で新たな価値に変換するプロジェクト「C-Lab」が発足

今回は、2018年に国連で提唱された「ラーニングエコノミー」の概念を基にして行われているプロジェクトの一つ、「C-Lab」についてまとめました。

ラーニングエコノミーとは

SDGsの目標4.質の高い教育をみんなに

 

https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/ より引用

ラーニングエコノミーとは、従来型の教育システムが抱える様々な問題を解決するために、国連が提唱した概念の一つです。

これはSDGs(持続可能な開発目標)の一つ、「質の高い教育をみんなに」を達成することを目的としています。

従来の教育は「報酬は教員に支払われ、その教員から教育が提供される」という仕組みのため、「教育格差」が生まれやすい性質を持っていました。

ですが、アメリカやヨーロッパ各国の教育機関では、「質の高い授業を誰もが受けられる」ように、教育の無償提供をする動きが非常に活発になってきています。

こういった様々な無償コンテンツの提供と引き換えに、ユーザーの学びとキャリアに関するデータを、政府や企業が収集するという新しい構想が「ラーニングエコノミー」です。

C-Labとは

この「ラーニングエコノミー」の構想を受け、アメリカ・コロラド政府の主導のもとに発足したのが「C-Lab」です。

コロラド州は、高校卒業後の大学進学率がアメリカ各州に比べて低いという問題を抱えており、その解決を図るために始まったのがこの「C-Lab 」でした。

これまでの実績やスキルを証明する学校の卒業証明や職歴だけでなく、UdemyやCoursera、MOOCといった教育プラットフォームのオンラインコースの修了証や、ワークショップ参加記録まで、全てのユーザーの教育に関するデータを「ブロックチェーン技術」を用いて管理します。

この仕組みは、分散型アイデンティティ(DID)の概念に則っており、ユーザーだけが自身のすべての記録を閲覧することができ、共有先をコントロールすることができます。

更に「アクティブラーニング」の推進にも非常に適しています。

アクティブラーニングとは、自ら能動的に学びに向かうよう設計された教授・学習法です。C-Labではホスピタリティやクリティカルシンキングといった能力を身に付け、興味を持った分野を幅広く学ぶことができ、グループディスカッションや共同作業など複数人で協力し合うカリキュラムが行われています。

さらに蓄積されたデータは、「人工知能」によって分析可能であり、ブロックチェーン技術によって蓄積されたデータと掛け合わせることで、ユーザーに適したタイムリーなキャリアアドバイスを受けることができます。

また、教育機関や企業側も、ブロックチェーン技術のトークンエコノミーを利用することで、市場に適した人材への投資が可能となり、移り変わりの激しい時代に適応する人材を育てることができます。

C-Lab及びラーニングエコノミーの将来性

 

Department of Higher Education Announce the Launch of Colorado Education Work Lab (C-Lab) から引用

「C-Lab」は、名だたる企業や団体がプロジェクトの推進者として名を挙げ、開発に携わっています。

その他にも「Hyperledger」を提供する「The Linux foundation」や、コロラド州各大学も提携を発表しています。

ラーニングエコノミーの推進拠点である、アメリカ・NPOからは「SDGsのもう一つの目標である「すべての人間らしい仕事の提供」を達成しうるものである。」とされており、キャリアアドバイスの精度や多様性に欠かせないデータ、つまり「参加者」を積極的に募っています。発足時の資料はこちら

2020年7月時点でも、大規模な実証実験や開発が進んでおり、今後様々な分野に応用されていくことが予想されています。

当社も国内唯一のデジタルクレデンシャル専業のスタートアップとして今後もブロックチェーン証明書の普及を目指すとともに、クレデンシャルを「ソーシャルアセット」としてデザインし、学習者と社会に新たな価値を提供できるよう、コア技術の開発に取り組んでまいります。

参考

Comments are closed.