今回は、前回まとめたCOLENDIに比肩する規模の分散型信用スコアサービスを提供する「Bloom」についてまとめました。
COLENDI、分散型信用スコアリング機能についてはこちら。
Bloomとは
Bloomは2017年にアメリカで創業されました。
創業の目的として主に以下2点が挙げられています。
- スコアリング情報などの個人情報の分散管理
- 世界中の人々へのグローバルな信用の提供
創業同年、信用情報管理事業において米国最大手のEquifaxがサイバー攻撃を受け、国民の半数以上に及ぶ1億5千万人の信用情報のデータが漏洩したという事件がありました。
この事件以降、アメリカの信用スコアリングモデルを提供するFICO、及びその算出に携わる信用調査機関の中央集権的な構造に対し疑問視する声が上がりました。
この構造への解決策として期待されたBloomは当時、ICO(暗号資産による資金調達方法)を実施し、$41,400,000(約45億円)を調達しています。
またCOLENDIと同じく、世界の約30億人が銀行口座を持つことができないという問題を解決するために、ボーダレスに通用する信用スコアの提供を目指しています。
Bloomのサービス
Bloomが提供するサービスはBloomID・BloomIQ・BloomScoreの3つです。
BloomIDは世界中で利用可能な分散型IDを提供するサービスです。また、今後の構想として、BloomIQでユーザーの取引履歴を蓄積し、その情報を基にスコアリングサービスであるBloomScoreを提供していくことが発表されています。
BloomIDをiOS上で提供するBloomAppsは、2019年2月にUS AppStoreのUtilityカテゴリーでTOP10入りを果たし、現在では25万人以上のBloomIDを発行しています。
BloomAppsの特徴として、ストレージ方法にブロックチェーンとの親和性が高い分散型プロトコル・IPFSを採用していることが挙げられます。(IPFSについてはこちら。)
よって、金融機関へのデータ提供による個人融資のみならず、Peer to Peer によるレンディングサービスも提供可能になっています。
これらのサービス以外にも、銀行口座に紐付ける必要がなく、世界中誰でも発行可能なクレジットカード「BloomCard」の発行が予定されています。
このカードは無担保消費者への信用を可能にすることで、発展途上国でBloomScoreを浸透させることを目的としています。
外国為替手数料や海外送金手数料を省くため、ETHを支払手段とする予定です。
スコアリングの算出方法
BloomScoreの算出方法はwhitepaperにて公開されています。
フェーズが以下の3つに分かれています。
フェーズ1
- 支払い総額と未払金総額
- 最長の返済履歴
- 平均月間支払額
- 過去のローンの数
- すべてのレポート情報横断での支払総額
フェーズ2
ステークしたPeerの平均スコアが数式の変数として追加。
フェーズ3
自身の金融取引だけでなく、過去の履歴から、そのユーザーとの金融取引に積極的なステークホルダー(Bloomユーザー)の取引実績値に基づいたスコアを算出。
また今後のロードマップとして、Bloom Token(BLT)を発行し、さらなるクレジットスコアへの機能強化を図っていくことが予定されています。
Verifiable Credentialの発行開始
Bloomは、2020年のコロナウィルス感染症によるパンデミックへの対応の一環として、検証済み免疫証明書(Verifiable Immunity Credentials)の発行を開始しました。
この証明書はコロナウィルスの免疫を獲得していることを証明可能であり、BloomIDに紐づく形になっています。
またユーザーの医療情報や診断結果はプライバシーとして保護されている設計となっています。
かつてない失業率、医療現場などの人員不足が起こっている現在、この危機への対応策として世界的に注目を集めています。