新型コロナウイルスの影響によって、今後はビジネスやテクロノジーのトレンドが大きく変わると予想されています。その中でも特に注目されているのが 「デジタルトランスフォーメーション(DX)」です。
DXは、従来のビジネスの商習慣を一変させる可能性を秘めています。
本記事では、コロナ禍におけるDXの最新動向をまとめて解説していきます。
DXとは
DXとは、デジタルトランスフォーメーション( Digital Transformation )の略で、主な意味は次の2つです。
- 新しいテクノロジーによって、人間の生活やビジネスなどにさらなる効率化や利便性をもたらすこと
- 既存の価値観や枠組みを根底から覆すほどのデジタルイノベーションをもたらすもの
このようにDXには、概念としての意味と、物としての意味があります。DXを社会に浸透させることができれば、人々の生活はより良いものへと変わっていくでしょう。
なお「デジタルトランスフォーメーション」は、単なる「デジタル化(デジタライゼーション)」とどう違うのかについては、こちらの記事でまとめています。
DXの具体例と活用例
具体的にはどんなDXがあるのでしょうか?以下にメジャーなDXをまとめてみました。
- AI (人口知能)
- 5G (第5世代移動通信システム)
- クラウド (いつでもどこでもデータの利用・保存・共有化を実現)
- ブロックチェーン (分散型ネットワークでデータの確かさを誰でも簡単に確認・証明できる)
- ロボット
- IoT (物がインターネットに繋がる仕組み)
これらが旧来のビジネスを大きく変えていくと考えられているDXです。
技術的な専門用語が多いので、私達の社会生活や仕事に関わる具体的なサービスに置き換えてみましょう。
- 画像認識 (AI)
- 自動運転 (AI/5G)
- 遠隔診断/遠隔手術 (5G)
- VR/AR (5G)
- リモートワーク/リモート会議 (ICT : 情報通信に関わる技術の総称 )
- キャッシュレス (ICT)
- AWS (クラウドサービス)
- ビックデータ (クラウド/IoT)
- 無人コンビニ (5G/AI)
- 無人倉庫 (5G/AI/ロボット)
- RPA (ロボット)
- スマート農業 (IoT/ロボット)
- スマートシティ (IoT)
- 暗号通貨 (ブロックチェーン)
- ペーパーレス、紙の電子化 ( ブロックチェーン )
- トークンエコノミー (ブロックチェーン)
など、書ききれないほど多様な分野で既に活用されていますが、これらはコロナ禍以前から存在していました。
それがアフターコロナの今、どう変化しているのでしょうか?
コロナ禍以降のトレンド
結論として、コロナ禍における今後のトレンドは、「コロナ以前からのデジタル化のトレンドの加速」です。
アナログなコミュニケーションが制限されてしまうコロナの影響によって、あらゆるオンラインサービスの需要が相対的に急伸し、DXはメガトレンドとして社会に浸透していくと考えられています。
実際に、今までリモートワークを疑問視していた企業が、緊急事態宣言や自粛によって導入を決めたり、授業のオンライン化に積極的でなかった学校が、一転して導入を進めたりと、多くの分野でデジタル化が一斉に始まっています。
また、日本・海外を問わず、コロナ・原油の価格暴落をきっかけとしたリーマンショック以来の不況が訪れることが予測されています。その影響によって、多くの企業で業務の無人化や自動化、省コスト化などが急務となることは想像に難くありません。
アフターコロナの時代とDXを活用しようとする企業の動きはセットとして考えられます。
DXのニーズの急伸とアナログなサービスの不調はしばらく続く
今回のコロナ禍によって、DXはニーズが伸びた一方、旧来のアナログなサービスや業種の売上は激減しています。
これは通常何年もかけゆっくりとシフトするトレンドが、2カ月間で急速に変化してしまった例外的なケースと言えます。したがってコロナが完全に収束すれば、そういった業種もある程度回復すると予想できます。
ただし、一度転がり始めたデジタル化への波は強く、「コロナ前の社会へ完全に戻る」とは考えにくい状況です。実際のアンケートでも、「コロナ後もテレワーク中心に働きたい」と答えた方が4割を超えたという結果が出ています。
業種を問わず、あらゆる業務プロセスのデジタル化、オンラインサービスのトレンド、DXのニーズ拡大は長期化していくでしょう。
次の章から、コロナ禍におけるデジタルトランスフォーメーションのサービス事例を紹介していきます。
医療の効率化を図るDX
「新型コロナウイルス診断AIシステム 」
現在、新型コロナウイルスにおける世界中の死亡者数は30万人を超え、今もなお、感染者は増え続けています。
そのような世の中で、重要なのは、ワクチン開発だけではなく、新型コロナウイルス診断の効率化です。
実は、この動きは、日本よりも中国において加速しており、すでに世界最大のBtoBトレーディングプラットフォーム「Alibaba」が「新型コロナウイルス診断AIシステム」の開発に成功しています。
このAIは、通常で約15分掛かっていた新型コロナウイルス診断をわずか20秒で完了できるという優れたサービスを提供しています。
さらに、驚くべきことにこのAIの精度は約96%と、非常に高い水準を誇っているのです。
本サービスは既に湖北省、上海、広東省、江蘇省等を中心にすでに実用化されています。診断の待ち時間を減らせるだけでなく、精度も申し分ない診断AIシステムは、画期的なDXの1つと言えます。
今後も、新型コロナウイルス診断だけでなく、多くの病気に対する診断に対して、AIシステムが作られていくことでしょう。
遠距離で不動産を管理できるDX
「スマートブッキング」
新型コロナウイルスの状況下では、対面感染のリスクがある以上、不要な外出は避けるべきです。
しかし、仕事の都合上、外出を避けて通れない企業もあります。特に不動産管理会社は、 実際に物件に赴き、管理しなければならない問題を抱えていています。
そこで役に立つのが、「スマートブッキング」という遠距離からスマートロックやスマートエントランスを操作・管理できる入居後の物件管理サービスです。
このサービスにより、
・登録・鍵交換といった入居者との手続きをオンライン上で行う
・工事業者が一時的に出入りできるようなバーチャルキーの導入
といったことが実現可能になります。
また、このほかにも複数権限の設定や共用施設のカレンダー予約・決済機能などがあり、様々なニーズに対応するサービスとなっています。
このようにIoT製品を操作・管理することで、不動産管理会社の業務を効率化することができます。
健康状態を把握できるDX「カロミル」。食事の写真で解析
新型コロナウイルスに感染しないためには、人との接触を減らすだけでなく、健康を維持したり、免疫力を高めたりするための生活習慣を身に付けることが大切です。
その一環として、自分が健康体なのか簡単に判断できる方法があったら便利ですよね。
この課題を解決したのが、いつでもどこでも写真を撮るだけで、自分の健康状態を知ることができる「カロミル」というアプリです。
カロミルにおいて最も特徴的なのは、AIによる画像解析能力の高さです。
この強みを生かすことにより、
・食事の写真を撮るだけで、栄養素を割り出してアプリに自動記録する
・体重や血糖値、血圧等の測定結果を撮るだけでアプリに自動記録する
といったことが可能になります。
感覚でなく、実数値で自分の健康状態を把握できるので、食事バランスの分析、改善にも役立てることができます。
画像解析の能力が上がるとその分だけ、可能性は広がります。このようなAIにおけるDXの活用事例は、今後も大きなトレンドと予想されます。
ペーパーレス化を実現するDX「CloudCerts」
新型コロナウィルスの影響により在宅ワーク、オンラインでの商取引が増える一方、従来通り紙の書類や証明書、押印作業を行っている企業はオフィスも数多く存在します。
このままでは外出リスクは勿論、時間やコストの浪費という点においても企業の不利益は高じていくばかりです。
そういった従来の紙の証明書やハンコの代替手段として利用できるのが「LasTrust」が提供するブロックチェーン証明SaaS「CloudCerts」です。
CloudCertsは、紙の証明書の原本を簡単にデジタル化できるサービスです。利用することで、省コスト化を実現できるだけでなく、大切なデータをブロックチェーン上に安全かつ容易に管理することができます。
情報の秘匿性
証明書内容を暗号化して、内容が読み取れない形でブロックチェーンに記録するため、そこから情報の漏洩を心配する必要はありません。
耐改ざん性
また、ブロックチェーンは「一度書き込んだら変更できない」という特性があるため、CloudCertsから発行された電子書類は偽造ができません。
発注から発行、納品までの全工程を非接触で実現
さらに、CloudCertsには、ブロックチェーン証明書の発行を「非接触」で行える利点もあり、アフターコロナの時代において非常に重要な役割を果たすことができます。
実際に、ビジネス・ブレイクスルー社とのプロジェクトでは、受注から発行、証明書授与までの全工程をオンライン上で行うことができました。
このように、紙の証明書やハンコにおける「証明」の役割はデジタルへと置き変わっていくと予想されます。その中でも、CloudCertsは画期的なDXであり、ペーパーレス化を検討している事業者にとって有益です。
まとめ
コロナ禍によって、望むと望まざるとに関わらず、人類社会は大きなパラダイムシフトを迎えており、ビジネスにおいてもニューノーマルの世界に適応するための”変化”を求められています。
当社も、この激動の時代を生き抜こうと努力する企業へバリューを提供できるよう、今後も励んで参ります。