ブロックチェーン技術を用いた次世代ファイルストレージサービス「Filecoin」

Peer to Peer(P2P)ネットワーク上で動作する分散ファイルシステム:IPFSを利用したFilecoin(ファイルコイン)について紹介します。

まずIPFS(InterPlanetary File System)とは、Protocol Labsにより開発が進められている、P2Pネットワーク上で動作するハイパーメディアプロトコルです。

現在のインターネットで主要なプロトコルはHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)ですが、それを補完または置換するプロトコルとして注目を集めています。

IPFSについての詳細はこちら

Filecoinの開発企業「Protocol Labs」

 

Protocol Labsは2014年に、IPFSとFilecoinを考案したJuan Benetによってシリコンバレーで創業されました。


Protocol Labsの主なプロジェクトとして、P2P通信や、P2P上の分散ファイルシステムやコンテンツデリバリーネットワークが挙げられます。中でも、IPFS・libp2p・Filecoinは画期的なプロジェクトとして、中国を中心に注目を集めています。

 

Filecoinとは

 

Ultimate Guide to Filecoin: Breaking Down Filecoin Whitepaper & Economics |  by vasa | The Startup | Medium
https://filecoin.io/

Filecoinは、P2Pネットワーク上で、ストレージを提供する個人や中小企業が報酬を得ることが出来る分散ネットワークです。

既存のIPFSのプロジェクトでは、ストレージを提供する側に経済インセンティブがないという課題があり、ピン止めされたコンテンツしか永続的に保存されませんでした。つまり、IPFSではアクセスされないファイルは消えてしまう可能性があるという課題を抱えていたのです。

この課題を解決するべく、インセンティブが設計されたネットワークがFilecoinです。

 

Filecoinの仕組み

 

Diagram showing a four-step process for storing files with Filecoin. First step: User who wants to store a file pays miner to store their file. Second step: Miner commits publicly via Filecoin’s blockchain to storing the file. Third step: The network constantly verifies that miners are storing files correctly. Fourth step: User pays miner to retrieve their file.
https://docs.filecoin.io/introduction/what-is-filecoin/

Filecoinの仕組みとしては以下が挙げられます。

  • ユーザーはお金を払ってマイナー(ストレージの供給者)にファイルの保存を任せる。
  • ストレージマイナーは、Filecoinのブロックチェーンを参照し、ファイルが正しく保存されていることを証明する役割を担う。
  • Filecoinのブロックチェーンには、独自のブロックチェーンと暗号通貨(FIL)を送受信するための取引履歴、ストレージマイナーがファイルを正しく保存しているという証明を記録する。
  • FilecoinにはFILが存在し、ストレージマイナーは、ファイルを格納するとFILを報酬として獲得する。

特徴として、ファイルストレージを使う側としても、提供する側としても自由にFilecoinのネットワークに参加できることが挙げられます。

また、オープンなマーケットで取引されており、ユーザーはどのストレージにファイルを保存するか・ストレージの性能・利用するストレージの数を自由に選ぶことができます。

 

Filecoinのメリット

 

Filecoinのストレージを使用するユーザーのメリットとして下記が挙げられます。

  • オープンな市場のため価格が低くなる。
  • 最適なストレージを提供しているマイナーを選択する事ができる。
  • プロバイダーごとに異なるAPIの実装が不要。
  • Filecoinのブロックチェーンにいつでもアクセスし、ファイルが正しく保存されているかを確認することができる。

 

一方、ストレージプロバイダーとしてのメリットは以下が挙げられます。

  • オープンなマーケットでストレージを販売することが可能
  • ファイルの保管により、多くのブロック報酬を受け取ることが出来る。
  • ネットワークへのアクセスは、Filecoinのプロトコルによって自動的に処理されるため、独自APIの設計・提供するサービスの宣伝が不要。

 

Filecoinの将来性

 

https://coinlist.co/assets/index/filecoin_index/Filecoin-Sale-Economics-e3f703f8cd5f644aecd7ae3860ce932064ce014dd60de115d67ff1e9047ffa8e.pdf

 

FILは上記のようにマイナーへの配布量は多く、最初の1年間でマイナーが8000万FILを得ます。

つまり最初の数年は極めてインフレーション率が高いコインとなっていますが、これは初期にストレージ提供者を増やすための設計であると考えられます。

よって、大規模な初期投資が必要で、参入障壁が非常に高かったクラウドストレージ市場に対し、オープンな市場を提供する、新しいシェアリング型プラットフォームとして今後普及が見込まれています。

 

参考

 

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