スタディログ・ライフログのデジタルトランスフォーメーション「出口戦略」まとめ

今回は、「ラーニングエコノミー」の概念を基にして行われているプロジェクトの一つ、「C-Lab」について、具体的な学習者の「出口戦略」と現時点で議論されている課題をまとめました。

「C-Lab」の概要についてはこちら

 

学習者への「出口戦略」

 

Project 21C SDGs より引用

 

「C-Lab」概要でも触れましたが、「C-Lab」及び「ラーニングエコノミー」が目指している目標がSDGs(持続可能な開発目標)、中でも「質の高い教育をみんなに」と「すべての人間らしい仕事の提供」です。

これらの目標に基づき、実現可能な学習者へのサービスとして、下記のような具体例が挙げられています。

 

・改ざん不可能な資格・卒業証明書の提供

・ユーザーの「学び」の無償化、価値の可視化(アクティブラーニング化)

・コミュニティやボランティア活動参加の促進

・タイムリーなキャリアアドバイス、及びジョブマッチング

・信用の透明化による融資条件緩和、起業の簡素化、促進

 

更に、OECDが提唱する「21世紀型スキル」に則り、コミュニケーションスキルやビジネススキルといったソフトスキルを養う場の提供、価値の可視化にも取り組んでいます。

 

図:Excedoのプログラムを構成するスキルフレームワーク
https://at-jinji.jp/expertcolumn/167 より引用

 

この取り組みは、欧州や北米での難民・移民問題に対して、再定住に不可欠な言語や就労のためのスキルを学ぶ機会を提供するとされています。

つまり学習者は、学生や労働者だけでなく、本来生活のための最低限の教育を必要とする難民にまで幅広く想定されているのです。

学習者に提供できるサービスの精度は、人工知能の精度、つまりデータ量に依存するため、幅広い学習者・過去のデータを大量に保有する世界中の様々な企業がデータ提供をすることで、学習者にとって非常にメリットの大きいプロジェクトになります。

 

「C-Lab」の課題

 

Illustrated by Adobe Stock

 

参加者を募る際の障壁として「経済的合理性」が挙げられています。

つまり、学習者の「学びのデータ」に対しての価値が、出資をする企業や団体に対して十分に明らかではないということです。

この問題を解決するために、以下の取り組みが行われています。

 

・多様な評価軸を実現するためのアルゴリズムの透明化

・コンテンツの透明化、標準化

 

例えば、人の信用によってスコアを測る「胡麻信用」は既に中国で実装されているものの、具体的なアルゴリズムが公表されておらず透明性に欠けています。

ユーザーにアクティブラーニングを促すためには、ラーニングエコノミーによって可視化したユーザーの学びの価値に根拠を与える必要があるとされています。

また、コンソーシアムに参加している教育機関のコンテンツ、ユーザーの成績や成果についても、透明化させる必要があるとされています。

つまり、出資している企業に対して、採用した人材のスキル不足などによるミスマッチを極限まで防ぐような、高い精度を提供可能であるということを証明しなくてはならなりません。

 

「C-Lab」は教育格差の是正になるか

 

上記の課題以外に、教育格差問題の根本の是正にはならないという意見があります。

具体的には、習得が難しいスキルに価値が集中してしまうのではないか、大量の時間と家庭の環境に依存してしまうのではないか、といった懸念も挙げられています。

現時点でも議論されている問題ですが、SDGsの持続可能な開発目標を掲げ、国際的に参加者を募っていくことを考えると、利害関係者すべてを納得させるためのさらなるシステムの開発が必要です。

参考

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